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Letter for athlete vol.2 大会がなくなった夏にできること -学生アスリートたちへ-
2020年04月27日

今年はインターハイと全日本中学選手権が中止になりました。この大会を目標に頑張ってきた選手も多いと思います。私も昔は全日中、インターハイともに目指していましたから気持ちは痛いほどわかります。

ですが、落ち込んでばかりもいられません。行動しか現状は変えてくれませんから、問題を分解し、整理をして、一つ一つ対処するしかありません。私はアスリートの特徴は、身体的に優れて、スポーツに特化した技術を持ち合わせていることだけではないと思っています。それらに加えてどのような局面でも、捉え方を変え、工夫し、道を模索する人を言うのではないでしょうか。今こそまさにアスリートらしさが問われていると私は思います。

具体的にはこの夏をどう捉えて、どう行動したらいいのか。その手助けになればと思い、少し長文ですが文章を書きました。

 

1、今年が最後の方へ

今年のインターハイや全日中を目標にしていた人はそれがなくなりました。今年引退する予定だった方は、もしかすると競技をする機会がないままに引退することになるかもしれず、このままだと後悔をずっと引きずっていきそうだ、と思われている方もいるかもしれません。まず私のアドバイスは、自分なりに踏ん切りをつけて(全力でどこか近所を走ったり、自分の思いを文章にするなど)当初予定していたタイミングですっきりと引退をすることを勧めます。

私は時々、競技人生を自分のせいではない怪我や、チームの不祥事の影響などで、プレイする機会を失ったまま引退した人に会うことがあります。見ていると引退して数年あたりであれば引きずっている人もいますが、10年を過ぎた人は誰もが想像以上に明るく捉えるようになっています。無念の引退の悔しさをぶつけるために、留学し、新しい道を見つけた人もいます。乗り越えた方は”あれがあったから今の自分がある”と言います。競技はとても大切なことですが、競技よりも長く人生は続きます。競技とは違う方法で今の悔しさをぶつけるものが必ず見つかります。

 

2、来年以降がある方へ

目標がなくなれば誰でも落ち込みます。ですから、とにかくまずは落ち込んで、周りに愚痴りたいだけ愚痴ってください。落ち込む時の作法は、中途半端にしないことです。思い切って落ち込んで徹底的に後ろ向きになるのが大事です。ただ、人間は辛い時には後ろ向きに、内向きにそれを癒す必要がありますが、それが常態になってしまうと立ち上がれなくなります。熟達者は心が揺れないのではなく、揺れ続けないのが特徴です。二週間以内、思う存分落ち込んでそしてふっきりましょう。

吹っ切った後は次の目標です。競技者は未来の目標から逆算し、今やることを決める癖がありますが、現在のようにすぐ状況が変わり誰にも先が見通せない状況では、計画はあまり意味がなくなります。先を見るのではなく、とにかく目の前ですぐ自分に努力できることを積み重ねてください。大事なことは具体的な目の前のことを目標にすることです。受験がある方は受験勉強でしょう。ルーティーン化し、スケジュールを立てそれに従って行動することです。すぐに見つからないのなら、英語を学ぶでも、本を読むのでも、競技と関係のないことでも何でもいいです。自分に負荷をかけた方が目標が定まらない時は心はやすらぎます。いくら新型コロナウイルスと言ってもずっとこのままの状態ではありません。必ず抜ける時がありますから、その時にダッシュできるように準備しましょう。

トレーニングにおいてはかなり制限がかかった状態かと思います。この状況を怪我をした状態と捉えてみてください。怪我の状態よりもましで、動きに制限はなく、人との接触に制限がかかっているだけです。怪我からの復帰後に良い成績をおさめる選手のほとんどは、怪我の間に地味だけれども競技力向上のために避けては通れないトレーニングを行っています。具体的には体幹トレーニングや、股関節や肩甲骨周辺の動きです。これを毎日ねちねち攻めてください。1ヶ月でもやり切ってみるとかなり動きは変わってきます。中心部の動きがほんの少し変化するだけで末端の動きは劇的に変わります。普段はそんな地味な練習は避けてきたかもしれませんが、これを機に根本から鍛え直してみてください。

 

3、進学について

インターハイや全日中、そしてその途中の地区大会は、選手を勧誘する上でとても大きな役割を果たしています。勧誘する側も勧誘される側も大会がなくなってしまったことはとても不安に思っていると思います。私の私見では今年試合が行われる可能性はあまり高くありません。

試合が行われないということは、限られた情報をもとに勧誘するはずです。学校だった来年の4月にいつも通り開講できるかわかりません。9月にずらすという話すらあります。このような混乱状態なので、昨年までの成績だけではなく、本人のキャラクターとやる気が影響すると私は思っています。まず情報を集め、ここだと思うところにはどうか皆さん自分の売り込みをしてみてください。手段は何でもいいです。ネットで調べれば学校のコーチや監督の連絡先ぐらいはオープンになっていると思います。自分のスポーツにかける思いと、それからチームに何が貢献できるのかを文章で書いて送ってみてください。チームに”してもらおう”と考えている人が多い中、チームに”貢献しよう”と考えている人はどの学校も欲しいはずです。

また一歩引いてみると、世界中同じ状況ですから、海外でも変わりはありません。あまり知られていませんが、日本の高校スポーツはレベルが高く、アメリカの大学のスカラシップ(奨学金)を取ることすらできます。また男女のスポーツ特待生を平等にするべきという考え方が強く、日本の競技力が高い女性競技は比率的に優遇されやすくなっています。これを機会に、日本の大学だけではなく、海外の進学も検討してみていただきたいです。

 

新型コロナウイルスの影響がいつなくなるのか、緊急事態宣言が終わるのはいつか、試合が再開されるのはいつかなどは、協力はできても個人にはコントロールできません。コントロールできるのは、物事の捉え方、トレーニング、次のステージの準備です。頭を切り替えればやることは山ほどあります。大丈夫、今まで頑張ってきた君ならきっと乗り越えられます。

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