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兵站と作戦 Deportare letterより
2020年11月05日

最近、兵站について調べてみようと思い何冊か本を読みました。兵站は食糧の供給に関することということぐらいだと思っていたのですが、ずいぶん認識が変わりました。兵站は要するに作戦を実行する上で必要な物品全てを指すようで、武器、弾薬、燃料、食糧、衛生品などなど、多岐にわたっています。そう考えると、兵站の有無が勝敗を決すると言っても過言ではないでしょう。

兵站の法則は、供給元(戦時の場合は本国であることが多い)から、離れれば離れるほど、範囲が広がれば広がるほど、供給能力が低くなるということです。第二次大戦の時、日本軍は範囲を広げすぎて供給路を伸ばしに伸ばしてしまったので、兵站が行き届きませんでした。
血管が遠くまで通りさらに静脈が広がっているのをイメージすると、確かに広がれば広がるほど遠くなればなるほどたくさんポンプで血液を運ばないといけなくなります。範囲が遠く広がれば心臓に負担がかかるということだと思います。逆にいえば供給元の供給能力が、広げられる範囲を決めるとも言えます

兵站について書かれているのはほとんどが軍事に関する本でしたが、私はこれを自分の人生に置き換えながらなるほどなあと思って読みました。お金について質問されることが最近あったのですが、考えてみれば私はお金を兵站として捉えているように思います。まず家族が食っていく日常を回すためにお金が必要になります。私はなるべく生活をシンプルにしたくて、趣味も減らしたがる傾向にあるのですが、兵站が過大に必要になるのを嫌がっているのだと思いました。兵站の法則に従えば、守らなければならない範囲が広ければ、それだけ兵站の供給元に供給能力が求められます。

スタートアップ企業と一緒に働いていると、まさにこの兵站が生存できるかどうかを分けます。資金調達という形で彼らは兵站を適時補給し続けるわけですが、その際に重要になるのがビジョンと、それから信用です。自分で持っていない兵站をなんとかして補給し、それをつぎ込んで一気に走り抜けるのがスタートアップなわけですが、そういえば本の中に日露戦争の際に英国が国債を引き受けてくれたことが大きかったという事例がありました。少し似ているのかもしれません。

歴史的に兵站を軽視した戦争はほとんど負けてきたのですが、一方で兵站はいつも軽んじられてきたそうです。なんとなく派手じゃないからでしょうか。日本は兵站軽視でインパール作戦を決行し、悲惨な結末を迎えました。足りないものは現地調達でという通達すらあったそうです。これは考えてみると、私たちスポーツの現場で、練習量が増えて選手の限界を超えた時に、足りないものは気合と根性でというのに似ているかもしれません。日本には積み上げていって足りないものはあとでなんとかするという性質があるのでしょうか。

私はついつい壮大な夢を描き、しかもいろいろやろうとするのですが、法則に従えば離れれば離れるほど広がれば広がるほど、兵站の供給は大変になります。きちんと絞り込んでそこに潤沢な兵站を供給することが大事なんだなと感じました。
さて、兵站は作戦のためにあるそうですが、人生の時間も、お金も、信用も、全ての兵站はなにかの作戦を実行するためにあるとしたら、自分の作戦とは一体なんだろうと考えさせられました。

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