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アスリートが背負うもの※昔呟いたものです
2017年04月11日
  • その子は砂遊びをするのが大好きだった。毎日砂場に行っては夕方になるまで夢中で何かを作っていた。あまりに毎日夢中になるものだから、気がつくと周りの子供よりも上手に作れるようになっていった。
    ある日、その子の砂遊びを見た大人が言った。”この子には才能がある”段々とまわりに人が集まるようになってきた。”これはすごい””これはとても価値がある”気がつくと砂場の周りには人がたくさんいて、子供の手の動き一つ一つに喝采が送られた。
    いつの間にか、子供の砂遊びは”楽しいからやっている”から”意味があるからやっている”に変わっていく。がんばれがんばれもっとがんばれ。やがて”つくりたい”が”つくらなければ”に変わっていき、少しずつ子供の眉間に皺がよるようになっていった。
    ふと、ある時子供は思いついてしまう。”もし失敗したらどうなっちゃうんだろう”。その日から何をしていても、失敗してしまったときの事が頭から離れない。砂を持つ手が震えるようになる。失敗しないように間違えないように。その事ばかり頭に浮かぶ。
     みんなをがっかりさせたくない。そんな想いだけで砂場遊びを続けていく。もう周りも見えず砂だけを見てどのくらい経ったのだろう。急に背中を叩かれたら知らない人が前に立っていた。”なんで砂場遊びをやってるの?”
    横で別の子供が夢中で砂遊びをしている。僕もただ楽しいからやっていたのに、いつの間に変わっていったんだろう。ふと見回すとみんなが笑顔でこちらを見ているのに気づく。子供は腕をまくって砂を掴んだ。大丈夫と小さくつぶやく。やりたいようにやればいいんだ。
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