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知ることのリスク
2015年03月19日
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知らないということは損をすることが多いから、とくかく先ずはたくさん調べてより適切な選択をするように。会社を始めるとこういうアドバイスを受けることが多く、なるほどそうだなと僕も思うからまずは調べるようにしている。市場規模はどのくらいか。ライバルはいるのか。今後成長するのか。など。

ノーベル賞を取った天野教授と対談した。青色LEDはすごいと感じたらしくこれだと思って研究をはじめてみたら、実は青色LEDの研究にすでにたくさんの先人が失敗していたことに気づいたそうだ。もし知っていたら研究していましたかと聞いたら、いや知っていたら多分やっていなかったと思うとはにかみながら答えていた。

僕が競技を始めた時は、なんとなく足も速いしすごくなれそうだという期待感でスタートした。近所に陸上クラブがあって足も速かったからという単純な理由だった。ちょっとずつ世界に近くなっていき、初めての世界大会が18歳の時のシドニーの世界ジュニアで、そこでアメリカの黒人選手を見た。全く別次元の走りをみて正直なところ無理だと思った。唯一無理じゃなさそうかなと思ったのが400Hだったから、これしかないとすがるつもりで400Hを始めた。

冷静に情報を集めると、どの世界にもすごい人がたくさんいて、どれをやってもとてもうまくいかない気分になる。世の中はライバルだらけで、難しいことをいとも簡単に成し遂げる先輩たちがいて、市場は厳しく感じる。冷静に考えると偉業を達成しようとすることは到底考え難いことだと思う。

知ることはいいことで、それによって様々なリスクを排除できるけれど、同時に人から根拠のない勇気を奪ってしまうこともある。知らなかったからこそ始めることができて、始めちゃったから一生懸命やるしかなくて、そしてそのうちにものになっていくということもあるのではないかと思う。私たちはコツコツやれば手に入るものを、まだ始めていない今からは想像できない。

現状から考える未来と、未来から考える現状は少し違っていて、どちらを選ぶかはその人の好みだと思う。ただ一つだけ言えるのは、私は私自身の本当の能力を未だ知らないということだ。

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