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実績と言葉
2015年01月30日
何かを成し遂げてきた人の言葉は重たいと言う。その最たるものがアスリートではないかと思う。僕も現役時代、記者の方から感心されたり、褒めてもらうこともよくあった。

一方で行き過ぎる例も見ることがある。実績があると何を言っても何か含蓄があるかのように持ち上げられる。今考えれば、本当はただこねくり回して難しく言っているだけのこともあったと思うけれど、結果が出ていると勝手に解釈してくれて持ち上げてもらえる。そうしているうちにそれに慣れていくと、なんだか自分でもわかっていないこともまるで深そうに言い切ればそれっぽく聞こえるテクニックを学ぶ。

特に日本語ははっきりと具体的に説明せず話すとまるで深く聞こえる傾向にあると私は感じている。

”夢なんてないんです。僕には目標しかありません。つまり全ては行動なんですよ”

サラリーマンが言えば小馬鹿にされることでも、金メダリストが言えばみんな唸る。本当にその奥に意味があるかどうかは関係なく。

実は本人がわかっていないことをわかっていない場合もある。なぜなら大物とされる人には誰も突っ込んで質問しないので説明する必要もないから。つまりどういうことですか?具体的な例で言うとどんなことですか?現役時代であれば何か言えば”ほー!”の一言で終わらせることができる。こちらが言いたいのではなく、記者が知りたいだけですよねという待ちの姿勢でいられるから、少し不機嫌そうにすれば記者も記事が書けなくなるからという理由で引いてくれる。そしてその状況がより本人に気づかせるのを遅らせる。何がわかっていなくて、何がわかっているのかの違いもわからなくなる。

私の言葉に力があるのか、私の実績に力があるのか。それを少し遠くから眺めるぐらいがちょうどいい。実績を背景にした神通力のような言葉の力は、引退すればいつか切れる。王様は裸だと誰が最初に言いだすか。

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